イ族の住む村へ

昆明の宿のレストランでダラダラとしていると、英語を話す2人の中国人がいました。

話しかけると、色々と話が盛り上がり、数時間話すことに。

名前はミサちゃんとカンジ君で、昆明に旅行をしにきたようです。

色々と話しているとミサちゃんから、昆明から西に20km進んだところにあるイ族の村に行かないか、という提案が。

どうやらミサちゃんはイ族の村で自然を愛する活動をしているようで、これからイ族の村に行くようです。

イ族の暮らし、自然回帰を目指す暮らしを見てみたいと僕も一緒に行くことにしました。

行くメンバーはミサちゃんの友達のカンジ君、さくらちゃん、チェンユー君を含め、全員で5人でした。日本人っぽい名前ですが、ニックネームであり、全員中国人です。

夕方に車に乗り込み、みんなで出発しました。

イ族の村について

イ族というのは雲南省や四川省に住む少数民族のことです。

イ族 – Wikipedia

イ族(イぞく、彝族)は中国の少数民族の一つ。2010年の第6次全国人口普査統計では人口は8,714,393人で、中国政府が公認する56の民族の中で7番目に多い。

民族衣裳を纏ったイ族女性 – Wikipedia

僕が行ったイ族の村は、イ族と新住民と呼ばれる中国人がいます。新住民というのは、言葉通り、新たに移り住んだ人々のことです。

もともと雲南大学の先生が、この村を訪れて気に入り、住み始めたことがきっかけで、噂が噂を呼び、次第に住民が増えていったそうです。

この新住民と呼ばれる人々は、最近日本でもよく聞く、スローライフを好む方がほとんどのようです。

住民の方の中には、北京で巨大企業に勤めていたものの、最先端な技術に囲まれた生活や北京での公害に対して疑問を感じ、移り住んできた方もいます。

新住民の方は、誰も住んでいないイ族の方の住居を借り、その家を改修し、家の庭または近くにある畑で野菜を育て、肉を燻製保管しています。飲み物は茶葉を使って抽出し、電気は標高の高い土地の利点を活かして太陽光を使っています。

また、トイレに関しても、大便と小便を分け、大便は貯め、半年間発酵させた後、畑への肥料として使っています。

水は山から湧き出てきたものを使用し、野菜を洗ったり、洗濯物を洗ったりと活用方法に応じて、貯水池を変えています。

左側の部分が飲み水、右側の部分が野菜を洗うところ、そして、最も下流の右側が洗濯物を洗うところです。

イ族と新住民の関係について

僕が疑問に思ったこととして、新住民が移住してきたことに関して、イ族は拒まなかったのか、ということ。

日本では、移住した際によく移住先の住人の方との関係がうまくいかず、結局移住をやめてしまうということがあります。

そのようなことがこのイ族の村では起きてはいないのか、と疑問に思い、ミサちゃんに聞いてみました。

ミサちゃん曰く、そのようなことは起きていないようです。

イ族の方の寛容な心なのか、中国人のさっぱりとした性格のためか、移住に対してイ族の方とトラブルになったことはないようです。

逆にイ族の方々と共に食事会を開いたり、イ族の方にイ族の文化を教えてもらい、その文化を多くの方に伝える活動というものをしており、関係は良好であるようです。

そして、イ族の方々にどうしてこんな不便な土地に引っ越してくるんだと、言われることもあるようです。

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村に到着

イ族の村に夕方到着し、新住民の方の家でみんなで談笑。

カンジ君と犬

久しぶりにみんなでわいわいという談笑をし、久しぶりに笑いました。

一人で旅をしていると、あんまり大笑いする機会がなかったんだなと気付かされた瞬間です。

そして、夜になり就寝。

村での生活

朝起きると村全体が朝日に照らされ、見えました。

イ族の家は土で作られています。

おかゆやきゅうりの塩漬けなどのさっぱりとした朝ごはんを食べました。これがシンプルで美味。

それから新しく畑を作るところに、栄養分のある赤色の土を運ぶ手伝いをしました。みんなで泥んこにながら共同作業。

恥ずかしいことに一番ヒーヒー言ってました。

午前中のその仕事を終えると、みんなで市場に移動し、昼ごはん。手伝ったお礼にご馳走をしてくれます。

この写真の後、大量の中華料理を食べ、胃が痛みました。

そして市場で買い物。

それからミサちゃんが活動している有機栽培農園へ見学に。2kmほど歩きます。

POPなさくらちゃん
大きいイ族の家の門

有機農園に到着です。

この農園では、上海大学、北京大学、雲南大学の学生が有機農業、食育など様々な活動を行なっています。

活動発表の資料

有機野菜だけでなく、鶏や牛もいました。

様々な活動のための施設があります。

それから家に帰り、みんなで夕食作り。メインの仕事はお母さんたちがやってくれました。僕たちはソラマメの豆とりや火の管理など。

そして、料理の完成です。

総人数11名でわいわいと夕食をいただきました。

そして、夜遅くまでみんなでお酒を飲んで談笑。みんなで食事やお酒を飲むとこんなに楽しいんだと、心温まりました。

夜寝る頃にイ族の方の結婚式の披露宴の会場から大音量のカラオケが聞こえてきました。

どうやら、Kiroroの未来へが流れてきています。ミサちゃんに聞くと、日本の音楽や小説、漫画が中国ではかなり人気であり、そのブームがイ族の村まできているようでした。

村での生活2

朝です。

この日は新しく移住してきたヨガの先生、フーフーさんの家の庭づくりを手伝うことに。

そして、昼ごはん。

この料理、イ族の方の披露宴にお邪魔して、いただきました。牛や鴨、鶏の脚など食べたことのない料理ばっかりで戸惑いましたが、食べてみると以外に全部美味しい。食べすぎて胃の調子がまた悪くなりました。

午後からは近くの山、チーパン山へトレッキングに。

綺麗な川や小道を通り、登っていきます。

まるでどこかの民族のような衣装のミサちゃん。

道に咲いている梅がとても綺麗です。この村には梅の木がたくさんありました。

桜の木が大好きなサクラちゃん。

どんどん進み、

最後にダムのようなところで記念撮影。

そして山を降り、村で一番美味しいコーヒーを作るお店へ。有機栽培で作られたコーヒー豆を使用しています。

トレッキングでヘトヘトになった体に染みるうまさでした。

それからフーフーさんの振舞ってくれた夕食を食べ、夜はダンスパーティー。

ただ、いろんな曲に合わせて体を動かすだけなのですが、お酒も入り、独特の衣装に着替え、みんなで夜遅くまで盛り上がりました。

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村を去る

そして次の日の朝、引き続きフーフーさんの家の手伝いをして、村を去ることにしました。

村は3泊4日の滞在でしたが、新住民の方のスローライフの生活を知ることができました。

いろんな革新的な技術がどんどんと登場している中国で、このようなスローライフを重要視する方々がいる、ということは驚きでした。

スローライフを実現するために、住民同士、協力しあったり、話し合ったり。

新住民の方の家の改修をみんなで手伝ったり、お互いの野菜を持ち寄って夕食を作ったり。

そして、イ族との方々との親和的な生活を実現できていることも、驚きの一つでした。

今後、中国が発展していくにつれ、このように自然を大事にする活動ということが重要視されてくるのかもしれません。

単なる旅行では見ることのできない中国の意外な一面を体験することができ、非常に良い旅になったのではないかと思いました。

また機会が会ったら行きたいな。

5人のパタヤの仲間に見送られて一人で宿を離れた。なんだか10年前に生まれて初めて家を出たときのような気分だ。パタヤに来る一週間前まではまったく接点のなかった人たちとの別れがこんなに惜しくて、見送られることがこんなに切なく温かいなんてもしかするとこの瞬間のために旅に出てきたのかもしれない。

– 黒川博信「バックパッカーは東南アジアを目指す」
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